ストーリー

バイキングスのストーリーの「さわり」をご紹介。

自転車でしか、見れない景色がある

一本木一途は何をやっても上手くいかない、超不器用な高校生。
そんな何もできない自分を変えたくて、何をやるにも常にフル回転。
でも一生懸命すぎて、いつもカラ回り。
そして今日もまた、結局何もできずに終わる・・・
その無限ループなドジっぷりに、学校では「どんくさ王」と呼ばれ、からかわれている。

特にクラスメイトの宮田すばるは、彼の不器用さにいつもイライラさせられていた。
すばるは自転車のクラブチーム「サイクロン」に属する、超高校級と謳われるスプリンター。
鈍い奴が大嫌いなのだ。

そんな一途の実家は「ラーメン神速」
料理の出来上がりと出前のスピードをウリにするラーメン屋だ。
一途はその店の出前を手伝っていた。
そう、彼は出前だけは速かった。
幼少の頃から自転車を使って出前を手伝っており、自転車は彼にとって体の一部。
スニーカーのようなものだった。

ある日、練習帰りのすばるたちサイクロンの面々が
偶然に一途の実家であるラーメン神速に腹ごしらえに立ち寄る。
その偶然に驚きつつ、すばるたちが食事を済ませて店を出ようとしたその時
1人の客が金を払わずに店外に飛び出した!
「食い逃げだ!」

スクーターで逃げたその男を、すばるたちサイクロンがロードバイクで追跡!
超高校級スプリンターであるすばるがスクーターに追いつくものの、徐々に力尽きてくる。
所詮はスクーターvs.自転車・・・
しかしその時、何と一途が出前自転車でスクーターとロードバイクに追いついて来た!
驚愕するすばるを置き去りにし、出前自転車で食い逃げ犯に食らい付く一途!

どれだけ走っただろう。
結局食い逃げ犯を見失ってしまった一途たち・・・
しかし、追跡の果てに辿り着いた場所に、一途は衝撃を受ける。
「海・・・!?」
そこは沈み行く美しい夕日に照らされた、まばゆいばかりの絶景であった。
「自転車で、自分の脚だけで、こんなスゴイ所まで来てしまった・・・!」

それは一途にとって初めての経験、初めての景色だった。

転倒し、半壊した出前自転車を引きずりながらもここまで辿り着いた一途。
そんな一途をただのどんくさい奴だと思っていたすばるは言う。
「お前、根性あんな」
自転車があれば、スゴイことができる! どこへだって行ける!
一途の中に、何かが蠢き始める!

自転車が、自分を変えてくれるかもしれない。
そう気付いた一途は、すばるたちと共に走り始める。

レースへの挑戦、挫折、憧れ、ライバル・・・
そして一途同様に「自分に何ができるか」を探し求めていた仲間たちとの、運命的な出会い・・・
不器用で頼りなかった少年が、自転車という相棒と仲間を得て
共に楽しみ、悩み、苦しみ
やがて頼もしい男へと成長を遂げていく。

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